美式天然(うつくしきてんねん)

(監)坪川拓史、(出)高木均、吉田日出子、小松政夫
自転車で映画フィルムを運ぶ仕事をしていた少年も今は老人、しかし昔の出来事は鮮明に記憶に残っているのであった。そんな老人が孫娘に自転車を教えるのであった。
現在がほぼモノクロ、昔の出来事がカラー、映写される無声映画はもちろんモノクロという、凝ったつくりの映画。話も始めのうちは少々分かりづらいし、全体的に会話が少ないということもあって、ストーリーで盛り上がるという感じではないが、何によって今と昔を結びつけるかとか、モノクロなのに色が見えるようにとかいう意図が見えてくるとだんだん面白くなってきて、ほのぼのとした話でも十分面白かったです。星三つ
昔の場面なんかは相当凝っていてつくりは良いのだが、自然を映したところなんかは画像がもう少しきれいなら良かったのになあ。それがネックになったのかどうか、日本で公開される予定はないそうです。残念。
さて時間が遅いから質問タイムがないのかなあと思っていたら、監督登場。まだ若そう。才人っぽい感じでとても素敵な人でした。
最初の質問は、「制作期間が9年という事で、何でそんなにかかったの?」というもの。
答、とにかく自主映画ということで、金がなくなってはバイトしたりしていたので、時間がかかったということでした。その際近所のおばちゃんが映画作っているというと、100万ポンとくれてそれでだいぶ楽になったそうな。
加えて、監督の家の近所に閉館して25年以上経つのに、一人住んでいるばあさんが、閉館した当時のままの状態を保ち続けているという、この映画のもととなった劇場の話もあった。
次私が質問。 「モノクロでも微妙に色が付いていたりして、色調が違うのですが、それを出すために大変だったことはなんですか?」
答、最初の無声映画の場面は一旦白黒で撮って、それを映写機で映したものをカラーで撮って、さらに白黒にしてということを3回繰り返して、古い映画の雰囲気を出したそうな。
さらに踏み込んで、なんで現代が白黒で、昔がカラーかというと、現代の方を無声映画っぽく撮りたかったというのと、カラーにするとロケ撮影の時余計な色まで映してしまうから、モノクロにしたそうな。
逆に昔の方の色、特に劇場に掛かっていた緞帳の赤色がこの映画を撮るきっかけでもあったので、それを大切にしたかった、ということだった。
そして最後音楽に関しての質問があって、おしまい。監督は楽団を率いているそうな。
あと、次回作「アリア」が完成間近だそうで、この監督ならば是非見てみたい。
美しき野獣 
05・韓国・125分
(監・脚)キム・ソンス、(出)クォン・サンウ、ユ・ジテ
暴力をふるい無茶ばかりする刑事と、しつこいことで有名な検事がやくざの親玉を捕まえようとするが・・・
「インファナル・アフェア」を意識したかのような、香港映画っぽい感じがするこの映画、話の内容に変なところが結構あったり(そもそも二人のつながりや、ラストも)、アクションの見せ場のため話の方に少々悪影響が及ぶなど、問題点があるのだが、さっさと展開する話とまずまずの会話とアクションで、迫力はある。また柔らかいものによる攻撃なんかも良かった。
いつも爽やかなクォン・サンウ、今回はひげを伸ばしてむさ苦しい感じ。暴れるだけの役だったが、彼のアクションを見るとすっきりします。彼の映画はとりあえず見ようかと思うので、結構彼のファンだったりする。
UDON 
06・134分
(監)本広克行、(出)ユースケ・サンタマリア、小西真奈美、トータス・松本
世界を笑わせるとNYに出て行ってコメディアンを目指した男が、故郷の香川に夢敗れ帰ってきた。そしてタウン誌で働きはじめ、讃岐うどんを特集したところ、飛躍的に部数が伸び始める。
出だしからとんとん拍子で話が進み、テンポはあるし明るい感じも悪くないのだが、その反動か深みのある話にはなっていないし、型どおりだなあと感じるところが多々あり。また、特に夢の場面なんかは全く不要だったのではないかと思える。
それに、田舎の話なんだからもうちょっと地元のネタを入れて欲しかった気がするし、うどん自体についても、もう少し描いてくれても良かったと思う。
結局映画自体がうどんブームみたいな内容になっているのは、ある程度は意図だろうが、それじゃあいかんと思って欲しかった。
それにしても、ホント、一時増えたうどんやはあっという間に消えたね。全然おいしいと思えなかったから当然か。
LIMIT OF LOVE 海猿 
05・117分
(監)羽住英一郎監督、(出)伊藤英明、加藤あい、佐藤隆太、吹越満、時任三郎
鹿児島湾で大型フェリーと砂利運搬船が衝突し、フェリーが浸水、海難救助に海猿が出動した。
これが初海猿。今回は鹿児島湾が舞台。鹿児島大好きの私からすれば、桜島と鹿児島の景色がみられるとちょっと違った期待を持ちつつ鑑賞。いいねえ、桜島。船が中心というのが惜しいが。
で、内容についてコテコテ結構だが、加藤あいちゃんが出てくる場面や、テレビレポーターの女、必死こいて逃げなきゃらならないのにゆっくりしている場面があるなど、少々イライラするところもありました。水を大量に使った船内のシーンはまずまずなのだから、もう少しドラマの部分をテンポ良く見られるようにしてほしかった。
エコール 
04・仏・124分
(監)ルシール・アザリロヴィック
人里離れた場所に、幼い女の子のみのバレエ学校があった。そこでの女の子達の生活を描く。
出だしのダンスレッスンと遊んでいる場面がただ続いて、一体何の話か分からないし、大した会話もないので退屈だが、後半ようよう学校の様子が分かるにつれ、何となくこの映画の世界に入ることが出来、つくりがよいことも手伝って、変わった雰囲気のある映画としてまずまずでした。面白いかといわれたらそんな感じの映画ではないなあ。寓話風で何のことか分からないところもあるし。
ラストの表現方法は少々恥ずかしいくらいだが、これが女子高生だったら相当刺激が強いものになっていたろう。
エミリー・ローズ 
05・米・120分
(監)スコット・デリクソン、(出)ローラ・リニー
適切な薬の使用を止めさせ、悪魔払いで少女の病気を治そうとして死亡させたとして、神父が起訴された。一体少女に何が起こったのか。
裁判もの+びっくりさせるための作り話+精神病の少女が悪魔払いに頼る、という構成で、ある程度仕方がないかと思える程度にドキドキするように作られているし、バランスも悪くないと思える反面、作り話やあからさまな演出のみに頼っている点は物足りない。
また、悪魔払いのオカルト的な部分もあるにはあるが、「エクソシスト」のおどろおどろしさがあるわけでもなく、精神病患者を描いたものとして割り切って見ることができるのは、やっぱり作り話の部分がうまくなかったからだろう。
エリ・エリ・レマ・サバクタニ 
05・107分
(監)青山真治、(出)浅野忠信、宮崎あおい
感染すると自殺したくなるウィルスが蔓延、唯一の治療法は効果音を収拾している男の音楽を聴くことだった。
上の説明のように書くと身も蓋もない感じだが、私は何も知らずに見始めて、一体何の話だろうと思いつつ、半ば頃ようやく自殺の治療法という事が出てきて、話の筋が見えてがっかり。音を収拾するところなんて物珍しくて良かったけど、反面ギーギー音を立てる場面が長かったりするのは閉口した。
王の男 
06・韓国・122分
(監)イ・ジュンイク、(出)カム・ウソン、イ・ジュンギ
16世紀はじめ、二人の曲芸師が王を小馬鹿にした演芸で人気を博した。しかしそれが役人の目にとまり、二人は捕まってしまう。彼らは最後の願いとして、王が笑えば許されるはずと、王の前で芸を演ずること願い出る。
予告から王が笑うところが一番の盛り上がるところで、ラストに来るのかと思いきや、さらに紆余曲折というか、そこからが本番といった感じで、予想と違ったし、同様にイ・ジュンギ演じる男が、女と勘違いされるってな話が入るのかなあと思っていたが、最初から美しい男の役。ま、美しいがゆえに男を惑わしてしまうという部分はあって、ホモっぽい部分はあるのだが、性欲とはそんなに結びついていないので問題なし。
全体的な話のトーンは悲壮感のある話で、歴史モノのエンターテイメントとしてまずまずの内容。何が盛り上がるというほどでもなかったが、いろいろの芸をみせつつの話のテンポは悪くないし、登場人物の描かれ方も特徴がありまずまずでした。ただ、現実味を感じるというほどでもないので、やっぱりエンターテイメントとして見た方がいいでしょう。
オリバー・ツイスト 
05・英・129分
(監)ロマン・ポランスキー、(原作)チャールズ・ディケンズ、(出)バニー・クラーク、ベン・キングスレイ
孤児院から追い出されたオリバー・ツイストはロンドンにたどり着き、そこで子供中心のスリグループに入った。
名作文学の映画化。お金がかかっているだけあってつくりはしっかりしているが、どうしても今っぽさが出てしまう。47年度の白黒版と比べての話だが。昔の話は白黒の方がピッタリ合うという事も時々ある。
また、内容は変えようがないのだが、ところどころ味付けしてある部分が、悪くはないけどうまく働いていると言うほどでもなく、オリバー・ツイストの運命に翻弄される部分、その哀れさがあんまりこちらに伝わってこなかった。何でだろう。オリバー・ツイストをもう少し突き放して描いても良かった気もするが、それだと私なんかのような物好きの視点で一般受けしないだろうし。
終わりで始まりの4日間 
04・米・103分
(監・出)ザック・ブラフ、(出)ナタリー・ポートマン、ピーター・サースガード
母の葬儀に出席するため久々に故郷に帰った男は、心の安定のため多数の薬を服用していた。そんな彼がひとりの女性と偶然出会う。
出だしは挫折しつつある若者の姿を描いていて、地味ながらその後の展開に期待できたが、ナタリー・ポートマンと出会ってから話は面白味のない日常の話のみになり、ほとんど盛り上がることなく終了。会話は悪くはないので、それなりに観られるのだが、ちょっと何か起きようよ。
何でナタリー・ポートマンがこの映画に出たんだろうね。
隠された記憶 
05・仏・115分
(監)ミヒャエル・ハネケ、(出)ダニエル・オートゥイユ、ジュリエット・ビノシュ
本を紹介するテレビ番組のホストを務める男のもとに、奇妙なビデオと不気味な絵が届きはじめた。一体誰が何の目的でこんなことをするのか、男は次第に見当がつき始める。
謎があると映画に緊張感がでる。この映画もその緊張感が持続されていて、どの時点でも何かが起こりそうな気がする。冒頭の場面でも、何かが起こるのでは?どこかで何かが実は起こっているのでは?と自分が探偵になった気でいろいろ凝視してみる、そういう点が面白い。
内容やオチについてはあんまり述べない方がいいと思うので、最終的に納得できる人はあんまりいないと思える、という程度のことだけ書いておこう。納得できない割に星三つは甘めなのは、いろいろ応用が利きそうな気がしたから。
カサノバ 
05・米・112分
(監)ラッセ・ハルストレム、(出)ヒース・レジャー、シエナ・ミラー、ジェレミー・アイアンズ
プレイボーイとして名を馳せたカサノバが、気の強い女性と出会い、好きになってしまう。
ラッセ・ハルストレム監督ということで見に行ったが、出だしから薄っぺらな感じの内容で、モロハリウッド映画。がっかりです。そういうものとしてみれば、それなりのつくりと明るい感じの内容なので、悪いとはいわないが。期待せずに見てたら、星二つくらいだろうが、がっかり先行で星一つ。
ヴェニスの商人っぽいところがあり、ジェレミー・アイアンズは役がかぶっちゃってる。
風のファイター 
04・韓国、日本・123分
(監)ヤン・ユノ、(出)ヤン・ドングン、加藤雅也、平山あや
極真空手の創始者大山倍達が一流の空手家になるまでを描く。
話の内容と展開が「力道山」に似ているが、こちらはその姿がさっぱり伝わってこない。戦っている相手があまりにも変だし、実際の所どうだったのか見当もつかない話の展開など、とても実在の人物を描いたとは思えない出来。お粗末ながらもそれなりにお金がかかってそうなのにね。ちなみに韓国の俳優さんも日本語を話しているのだが、見ていて気になって仕方なかったので、途中から日本語吹き替えで見てました。
カポーティ 
05・米・114分
(監)ベネット・ミラー、(出)フィリップ・シーモア・ホフマン、キャサリン・キーナー、クリス・クーパー
1959年カンザス州の田舎で一家4人が惨殺されるという事件が起こった。その事件を描いた「冷血」という本をカポーティが書く過程を描く。
ずいぶん前に本を読んで、怖いというより淡々とした話だなあという印象くらいしか残ってないのだが、この映画も割と淡々とした場面が多い。しかしその淡々とした描かれ方の中には、実際の話という強みがあるし、カポーティの汚い一面と、実際同情している部分や彼の弱い部分を冷静に描いていると思う。こういう裏話があって本が出来たんだと、なかなか興味深かった。
映画の中で、「アラバマ物語」が出てくる。こちらもなかなか面白かったので、見てない人は見てね。日本語タイトルから想像するほのぼの話ではないが。英語のタイトルは「TO
KILL A MOCKINGBIRD」
紙屋悦子の青春 
06・111分
(監)黒木和雄、(原作)松田正隆、(出)原田知世、永瀬正敏、松岡俊介、本庄まなみ、小林薫
戦局が悪化の一途をたどっていた1945年、鹿児島に住む普通の女の子に見合い話が舞い込んできた。本当は好きな人がいたが、見合いをすることに。
黒木和雄監督の遺作。「父と暮らせば」のように劇っぽく、登場人物はほぼ上の5人。派手なところがない少々オトボケ気味の会話が主体だが、最後はしんみりときっちりとまとまっています。また方言を話している役者の演技も良く、原田知世がそんなに好きでない私でも、ラストの彼女は心に残りました。一方帽子をかぶった永瀬君は妙な顔つきでした。
私はてっきり紙を売る店の悦子ちゃんかと思っていたが、紙屋は単なる姓でした。
かもめ食堂 
05・102分
(監・脚)萩上直子、(原作)群ようこ、(出)小林聡美、片桐はいり、もたいまさこ
フィンランドのヘルシンキで、かもめ食堂なる店がオープンしてひと月、未だ客は来なかった。それでも単身やってきた女性店主は良いものをつくればそのうち客が来ると信じていた。
ほのぼのドラマ。地味な小話が中心で、特に何が盛り上がるというわけでもないし、話の展開もそれ相応でとりたてて何が良いというほどではないのだが、一つ一つの小ネタはまずまずだし、くすっと笑えるところもあるし、海外で生活する普通の日本人という、あんまりない話なのも良い。
また、フィンランド語はそんなに話されていなかったが、口調と間が妙に面白く、この映画と合っていた。
私は異国で頑張りつつ客が増えていくという内容と思っていたが、そういう頑張っているという悲壮感はゼロで、あくまでほのぼの、幅広い層が楽しめるタイプの映画かな。
記憶の棘 
04・米・100分
(監)ジョナサン・グレイザー、(出)ニコール・キッドマン、キャメロン・ブライト
夫に先立たれた女性の元に、夫の生まれ変わりだと言う少年が現れた。最初は信じていなかった女も、少年と会ううちそのことを信じ始めるのであった。
ニコール・キッドマン演じる女性が、10歳そこそこの少年に元夫の姿を見つけ出して、離れられなくなるという、少々きつい設定。せめて少年の方を16歳くらいにして欲しかった。そうすれば印象がずいぶん違ったろう。
内容に関しては、私は生まれ変わりを信じようとした二人と、すべてに裏切られた女を描いたものとして見たが、実際少年を元夫の生まれ変わりとして見ても見られるようです。
気球クラブ、その後 
06・93分
(監・脚)園子温、(出)深水元基、永作博美、川村ゆきえ、長谷川朝春
気球クラブの主催だった男がバイクで事故にあった。その知らせは携帯で元メンバーたちに伝わったが、そんなに強い結びつきのあるクラブではなかったので、反応は人それぞれ。でもおいおい人が集まってきて、過去のことを回想するのであった。
現代の人とのつながりに携帯電話は欠かせないということで、携帯での会話が多い。実験的にあえて挑戦しているという感じだが、やっぱり空間が変わると見づらい。それも台詞ごとに行ったり来たりするので、観ている方からすればちょっと迷惑な印象も。さらに後半に携帯番号を消すという、する必要のないことまでして、携帯に関することはあまりうまく働いていない。
さて、この気球クラブ、気球大好きな主催の男を中心に気球に乗るクラブだったのだが、5年前に解散し、多くのメンバーにとって、そんなに思い入れの強いクラブではなかった。ただ、可愛い女の子がいたので、男にとってはそっちが気になるという、いかにも大学のサークル活動みたいなところは、昔を思い出して懐かしい感じがした。また、別段何があったというわけでもないのに、かわいい子のことはいつまでたっても気にはなるという青春時代の恋心を、回想を交えつつ表現するのはなかなかうまい。
ただ、メンバーの思い入れが少ないにもかかわらず、集まったのは結構な人数で、それぞれにキャラを組み入れようとしたためか、集まった顔ぶれを見ると、どう見ても役者の集団に見えたり、最初のミニスカのお姉ちゃんなど、ほとんど話と関係のないような人達が集まったという印象もある。
また、主催とその彼女の話がラストにあるのだが、回想という形で挿入されているので、メインのはずなのに割り込んだ形になっているのは、もったいない気がした。全体的にスムーズな感じはしないし、問題点もあるが、あまり描かれることのないクラブ活動の恋物語を、懐かしい感じで魅力的に描いているし、印象的な場面も多い。
やりたいことを風船につけて漂わせているところなんて、監督自身の夢と行動力を表していて、園監督これからもまだまだ多作の次期が続きそう。
奇跡の朝 
04・仏・104分
(監)ロバン・カンピヨ
ある朝、死んだ人が墓場からぞろぞろ出てきた。一見生きていたときと変わらないようだが、よくよく調べるとやはり違う点があるのであった。しかし愛する人が戻ってきて喜ぶ人は、そんなことを見ぬふりをするが・・・
死んだ人が生き返って来るというとゾンビものを想像するが、人を襲うゾンビものではなく、死者と生きている人の関係をファンタジックに描いた作品で、いろいろ生き返った人の特徴を述べている点は良いのだが、最終的にはいらぬ心配をかけただけで、あんまり面白さを感じなかった。物語に入っていこうにも、やっぱり死人だし。
君とボクの虹色の世界
05・米・90分
(監)ミランダ・ジュライ、(出)ジョン・ホークス、マイケル・トンプソン
妻に逃げられ子供二人と暮らす男は変な男で、子供二人のことを大切にしながらも、いつ怒るかわからないし、人間関係も不器用。そんな男にこれまた変わったアート作家を目指す女性が恋をした。
一体どういう反応を示すのか分からない二人と、ませた子供の話。びっくりするような話の展開があるわけではないが、だんだんと引きつけられる魅力がある。男女両方変わっていたら、実感のないものになりそうなのにね。女が作るアートの持つ魅力というか、アーティストは変わっていた方が受け入れやすいのかも。
嫌われ松子の一生 
06・130分
(監)中島哲也、(出)中谷美紀、瑛太、伊勢谷友介、香川照之、柄本明
学校の先生になったものの、ある事件がきっかけで辞めさせられ、そこから転落人生を送った波瀾万丈の松子の人生を描く。
映像は予告の通りド派手で細かい点まで描いてあり、次から次へと手を変え品を変えサービス一杯。場面の切り返しなどもうまいし、ラストのしんみりした美しい映像などは良いのだが、歌って踊るところなどは私には不要に思えた。また、父と妹の関係、転落人生のきっかけやその後など、波瀾万丈とはいえ実感にとぼしく、浮ついた映像と相まって、内容面では良いと思える点はあまりなかった。
松子は、太宰治と入水自殺した山崎富栄が生きていたら、という仮想から話を発展させたと思われるが、こういうおふざけになるとは、哀れです。
孔雀 
05・中国・136分
(監)クー・チャンウェイ
1970年後半から80年代前半にかけて、中国の町中に住む一家、太ってみんなから馬鹿にされる兄、物静かな弟と、真ん中の夢見がちで不器用な少女の姿を描く。
NHKアジアフィルムフェスティバルにて。500円
監督は「紅いコーリャン」「菊豆」「さらばわが愛/覇王別姫」「鬼が来た!」などの撮影をつとめた人で、この作品が初監督作品。05年度ベルリン銀熊賞(審査員特別賞)受賞作。
なのだが、出だしからどうもすっきりしない。名だたる作品を撮影してる人だけに、ひとつひとつの場面は良く、場面場面にちょっとした話や見どころみたいなものがあるのも良いのだが、何を考えているのかよく分からない少女をはじめ、家族の行動がてんでバラバラって印象。次の場面へのつながりみたいなものがあまりなかったり、家族をつなぐ会話もなく、そういう意図なんだろうが、やっぱり筋となるストーリーがあった方が見やすいのにと思いました。
クラッシュ 
04・米・112分
(監)ポール・ハギス、(出)サンドラ・ブロック、ドン・チードル、マット・ディロン、ジェニファー・エスポジート
人種への偏見をテーマに、ロサンゼルスに住む数名の人たちを描く。
白人警官二人、黒人警官一人、黒人の悪いの二人、黒人監督とその妻、検事とその妻、小さな店を経営するパキスタン移民の一家と沢山の人たちが登場するパターンの内容。
一つ一つの話は緊張感があって良いし、一人の偏見と悪意に対し、もう一人がまともな見方をしつつ、それでも心が揺れていくという話の流れもうまい。
ただ警官との2度の出会いをはじめ、偶然の範囲を超えている結びつきや(そういう構成なので、気にはならなかったが)、宣伝で流れていた、撃ってしまうシーンの一連の流れなど、気になる点があった。
グラフティ 
(監)イーゴリ・アバシャン
壁に落書きをするなど少々問題のある美術学校の生徒が、田舎の風景を描こうとモスクワから外に出た。そして小さな村で、町の公民館に絵を描いてくれと頼まれる。
出だしは何の話かよく分からないが、後半戦死した人を描き始めてようよう話の意図が分かり始める。そういうものとすれば話の筋は悪くないのだが、肥料を運んでいる男と彼が好きになる女の話や、のんべいオヤジの話なども描き方が下品な感じがし、どうもスムーズなストーリー展開という印象ではなかった。
ラストなんかは良かったから、肥料を運んでいる男の話はまじめに描いても良かったような気がする。
で、質問タイム。トホホな質問が続き、ついでに監督も脱線するから、中身無しで、唯一壁に描いた絵はまだ残っているということぐらいだった。
グレート・ビギン 
04・仏・81分
(監)クロード・ニュリザニー、マリー・プレンヌー
様々な動物の映像を集めたドキュメンタリー。
ホスト役に黒人のオヤジが出てきて、何かを悟ったかのような話をするのだが、あんまりありがたくない。こんな分かり切ったことを言うより、大学教授などの専門家を呼んできてもらった方が、よっぽどためになったろう。だから一応の流れはあるもののおおざっぱで、寄せ集めといった印象を受けた。でも胎児の映像は驚きだし、動物の映像も目新しいものがあった。カニの目が高速で折りたたまっていくのに、初めて気がついた。皆さんも注目。
タモリ倶楽部じゃないけど、いろんな動物の愛の姿を集めたドキュメンタリーを作ってくれないかなあ。
敬愛なるベートーヴェン 
06・英・104分
(監)アニエスカ・ホランド、(出)エド・ハリス、ダイアン・クルーガー、ジョー・アンダーソン
第九番交響曲の初日を前に、ベートーヴェンのところに新人の女性コピスト(写譜師)がやって来た。女ということで最初は相手にしなかったベートヴェンだったが、それなりに仕事が出来るということで、彼女に仕事を任せることに。彼女の方は、敬愛するベートーヴェンの手伝いが出来ることにやりがいを感じていたが、ベートーヴェンの傲慢な性格に手を焼くのであった。
ベートーヴェンについて知っていることといえば・・・あんまりないな。当時のワインに入っていた鉛の影響で耳がとおくなったこと、ナポレオンに捧げるつもりで書いた曲を、ナポレオンが皇帝になったことで頭に来て楽譜を破った、ってな程度かな。ということでちょっと調べてみると、映画で描かれていたとおりに、晩年は汚く、傲慢で、コピストがきちんと楽譜を書かないと、普通の人はまず読めないようなものだったそうな。
彼の曲についても、うちにCDがいくつかあるから聴いたことはあるが、どれがどれという見当すらつかないレベルでで、第九番交響曲を通して聴いたことがないかも。ちなみにCDの録音時間は、第九が収められる時間が基準になっているのは、有名ですね。
話は第九番交響曲の発表前から彼の死までの、ベートーヴェンとコピストのやりとりが話の中心。現実の巨人(身長は低かった)にコピストが挑むのだが、彼女を巡る話の内容はそれなりにまとまっているいるし、ダイアンは綺麗だし、エド・ハリスの熱演もあって、不自然なところのない、さもそうだろうというほどまでの完成度を見せている。さらには女性の弟子という立場になっての、ベートヴェンの音楽や神や自然の見方を引き出している部分も面白い。私としたら、もっとその見方を引き出して欲しかった気もするが。ただ、最終的にはコピスト自身の話は思い切ったところまでいってないのは、少々物足りないところだ。また、耳の状態に関して、都合良く聴こえたり聴こえなかったりする部分は、ある程度仕方ないけど、やっぱりちょっと気になりました。
つくりに関しては当時の様子がしっかりと描かれていて、文句ない。ただ、スクリーンとの距離が近かったこともあり、出だしのカメラワークや、カメラを振って場面が変わるというところが少々見づらかったです。
さて、ベートーヴェンの曲が多数使われているのであるが、やっぱり第九の場面が一番良かったですね。ほかの場面の曲も知っていればもっと楽しめるはず。
ゲド戦記
06・115分
(監)宮崎吾朗、(声)岡田准一、菅原文太、、手嶌葵
竜が人間界にやってきて騒然とする中、その調査に向かった魔法使いが、一人の影のある少年と出会う。
出だしゆったり。悪いわけではないが、盛り上げるシーンがあってもいいのに。中盤から話が進み出すのだが、少年の暗いだけで特に何もしないという内容はがっかりだし、生命がどうこういうところも分かるのだが、もうちょっと盛り上げておいてから言ってくれないと、おきまりっぽい気がした。
ラストがいまいちだったり、序盤の少年の行動の話がどうつながっているのか説明無し、肝心なところは今時そこまでメルヘンしちゃうのか?というものだったり、本名がどうこういう部分など、色々問題点ツッコミどころあり。また絵も悪いとはいわない程度で、宮崎駿と比べると劣る。
県庁の星 
06・131分
(監)西島弘、(出)織田裕二、柴咲コウ
老人が優雅に暮らすことができる巨大施設を県がつくる予定をたて、民間の力も導入するため、県の職員が民間で働くことにした。それに事務処理能力のとても高い男が選ばれ、さびれたスーパーに派遣されることになった。
現実味ゼロの話で20分過ぎには見る気喪失。なんでもありのコテコテ話でも大丈夫という人向け。
考試
(監)プー・ジェン
電気も通っていない湿地帯の村で、小学校の先生をしている女性の生活を描く。
田舎の学校の先生といえば「あの子を探して」を思い出すが、こちらは生徒が5人とさらに少なく、どちらかというと普段の生活を描くのが主眼。実際にあった出来事ということで、大したことは起こらないのだが、地道に描かれていて映画祭なんかには良いと思います。また主演の先生は実際そこの先生で、家族もそのまんま家族だそうです。
質問タイム、3番目。最初に意見として、ひとりの生徒の母親が死んで、先生に母性を求めるという要素をいれればなお良かったろうと言うと、皆さん苦笑。で、美しい風景を撮るにあたって苦労した点は何ですか、と質問したら、田舎の風景は温かく、都会での色調は冷たい感じに撮るようにしたという、ちょっとずれた答えが返ってきた。まあ、翻訳の時点でずれることはよくあります。
ココシリ 
04・中国・88分
(監)ルー・チューアン
チベット奥地に住むチベットカモシカが密猟による乱獲で数が激減した。そんななかボランティアによるパトロール隊が結成され、密猟の取り締まりをはじめた。
チベットの大自然を描いている点は良いのだが、つくりはいまひとつだし、ひとつひとつの話はまずまずなのに、あんまりにも詰め込みすぎで実際の仕事の様子がつかみづらいし、隊長の無謀な指揮も納得できない。また飲み屋のお姉ちゃんの話など、付け加えの話の質も良くない。
ま、隊長の娘を見れば、取材に行った男が俄然やる気が出たのは納得できる。
サイレントヒル 
06・米・126分
(監)クリストフ・ガンズ、(出)ラダ・ミッチェル、ショーン・ビーン
幼い娘が夢遊病にかかり、妙な絵を描き始めた。それを見た母は、今は誰も住んでいないサイレント・ヒルという町に手がかりがあると考え、娘と二人でそこに出かけた。そしてそこで忌まわしき過去の出来事を知るのであった。
ゲームの映画化はろくなのがないが、これも何だか意味不明。娘がサイレント・ヒルの絵を描いたから調べに行く程度はいいにしても、最初から母親は暴走しているし、その後のお化けや悪魔みたいなのが出てきたり、、ついでに人がいっぱい住んでたりするのはどういうことか理解できない。何してるのこの人たち?
途中母が死人の口から紙切れみたいなのを取り出していかにもゲームっぽいが、映画だけで見ると突拍子もない行動に見える。全体的にそういう感じがした。唯一過去の回想の場面は良かったが、それだけでした。
サウンド・オブ・サンダー 
04・米・102分
(監)ピーター・ハイアムズ、(出)エドワード・バーンズ、ベン・キングスレイ、キャサリン・マコーマック
タイムマシンを開発した会社が、恐竜を倒すツアーを始め、大人気であった。ツアーでは過去に影響を与えないように細心の注意が払われたが、現在に影響を与える危険をはらんでいた。
映像内容ともにお粗末。過去の場面や怪物なんかは我慢しても、街中で車が走っているところや、合成丸出しの場面が多々あるなど、今時これはちょっときつい。内容も話に整合性を持たせようという意図などないらしい。マントヒヒの怪物に襲われたら迫力あるだろう、ていどの考えしかない。それにしても、時間の波って、一体何?
佐賀のがばいばあちゃん 
(監)倉田均、、(原作)島田洋七、(出)吉行和子、工藤夕貴、鈴木裕真
母が広島で飲み屋を営み、生活が目一杯なので、息子は佐賀のばあちゃんのところに預けられることに。そのばあさんは貧乏ながら生活力旺盛なのであった。
倹約家で明るいばあさんが中心で、生活感とヴァイタリティにあふれている。こんなばあさんに育てられたから洋七も明るいのかと納得。
内容は小学校低学年から中学校までとわりと期間が長いのに、短い時間に短縮されてるという感じだったり、半ばの学校の話なんかはいまひとつ盛り上がらなかったり、もう少し佐賀の様子を描いて欲しかったりしたが、「三丁目の夕日」までのつくりの良さを高望みしてもいけないね。まあでも、ラストが笑いとしんみりでまとまっていたので、星三つ半。
サムサッカー 
05・米・96分
(監)マイク・ミルズ、(出)ルー・プッチ、ティルダ・スゥイントン、ヴィンセント・ドノフリオ、キアヌ・リーブス
17歳なのに親指を吸う癖のある少年は、歯科矯正の医者から素人心理治療を受けたり、ちゃんとした医者から薬の治療を受けたりしつつ、自分と家族の関係を見つめながら成長していく。
予告から、ちょっとオトボケ気味で今流行りのオタクっぽい男の、ユーモアの混じった話かなあと思っていたがそうでなく、割とシリアスでユーモアのある場面はほとんどない。
話の展開は家族との確執、恋人関係と、おさえるところはおさえつつ、ディベート(討論会)が出てきた点などはちょっと意外だったし、キアヌ演じる医者があんまり役になってないのも、ちょっと意外だった。
全体的にしっかりした話の展開なのだが、高校生になっても指を吸わなくてはならないほどの、つらいという印象はなかったし、恋人や薬、麻薬、酒なんかに関してもちょっと都合良すぎる感じがした。
さよなら、僕らの夏 
04・米・94分
(監)ヤコブ・アーロン・エステス、(出)ロリー・カルキン、スコット・ミシュロウィック
だれにでも暴力をふるい、さまざまな知識をひけらかす太った男の子は、みんなから嫌われていた。同級生の男の子もひどい仕打ちを受け、その子に仕返しのいたずらをしようと、上級生らと川にボート遊びをしに行くことになった。そこで事故が起きてしまう。
オレゴンの雄大な自然のなかで、中学生から高校生の少年の揺れ動く姿を描いていて、つくりはしっかりしている。
主要登場人物は6人で(うちひとりは影が薄いが)、それぞれどこかにいそうな気がする現実味のある描かれ方で、特にいじめっ子の太った男の子は、現代を象徴しているかのような、知識や食欲虚栄心をもちあわせ、それを持てあましているかのようなキャラクターで、とても特徴がある。
また一番上の格好いいにいちゃんはこの中で唯一不良っぽく、人を馬鹿にしそうなタイプで、いかにもアメリカの高校にいそう。一方いじめを受けていた男の子とその兄、女の子は割と普通で、どこにでもいる感じ。
だから、どちらかというと太った男の子が中心で、ロリー・カルキン君演じる男の子は見ている側で、その点は少々受け身過ぎに感じたし、事故に対する彼らの心情についても、太った子の自滅という感じが見ているこちらには少々あるのに、事故後の普通の子らの気持ちについては十分伝わってくる描かれ方でなかったような気がする。その後をもう少し描いてくれた方が、面白かったろうにと思えた。
公式HPの監督の話によると、高校のいじめ問題から発想を得たそうで、日本ではあまりない嫌がらせをするいじめなので(日本では無視が主流だと思うが)、そこらの実感の違いも素直に共感できなかった理由かな。それにしても、映画を見る限り、アメリカの中学高校生活というのは普通の子には過酷だ。
サンキュー・スモーキング 
06・米・93分
(監)ジェイソン・ライトマン、(出)アーロン・エッカート
タバコの害をより広く知ってもらうため、文字だけでなく骸骨マークを付けようという運動が出てきた。それを阻止するため、タバコ産業の広報ロビイストが様々な手を打つのであった。
風刺が効いた会話とテンポの良さはあるものの、上っ面だけの調子の良さという印象も否めない。特に主人公をはじめ登場人物の描き方や話の筋なんかはいまひとつで、ラストもパンチが足りないように感じました。
三年身籠る 
05・99分
(監)唯野未歩子、(出)中島知子、西島秀彦
ちょっとオトボケ気味の女の子が妊娠した。ところが出産時期が来ても子供は生まれず腹の中に。そのうちおなかの子供とコミュニケーションがとれるようになったりしつつ、3年が過ぎようとしていた。
明るい感じの映像は結構なのだが、生まれてこない子供に対してどう対処しようか、見ているこちらの判断が難しい。というのも、他人は変に思っているのに、この異常事態を家族が何とも思っていないという点が何とも理解しがたい。本人だけならまだ納得いったろうに。また何かしら寓話的な意味があるのかとも思ったが、ピンと来なかった。
幸福のスイッチ 
06・105分
(監)安田真奈、(出)上野樹里、沢田研二、本上まなみ
和歌山の田舎町で小さな電気屋を営んでいるオヤジが骨折した。そのオヤジの意に反して東京で働き始めた娘が、嫌々ながらもしばらくの間オヤジの電気屋の手伝いをすることに。
ほのぼの話としたら会話のテンポもいいし、内容自体もまずまず。また、三姉妹とその父が話の中心というのも、女性監督ならではの特徴でその点も良い。ただ、母の話はいまひとつだし、父との関係ももうちょっと何か起伏に富んだ話があっても良かったような気がする。何かすんなり落ち着いてしまった感じ。
映画と関係ないが、先日秋葉原を歩いたら、でかいヨドバシカメラの反対側、以前メインストリートの電気街がすたれていてびっくりしたよ。メイド萌え路線でないと、生きていけない不穏な空気が流れてました。電気屋って巨大量販店か何かに特化するかしないと生き延びられない厳しい世界だね。
ジャーヘッド 
05・米・123分
(監)サム・メンデス、(出)ジェイク・ギレンホール、ピーター・サースガード、ジェイミー・フォクス
海兵隊に入隊した若者が、日々のつらい訓練を重ねていた。そんな時イラクがクウェートに侵攻、彼も中東に派遣された。
体験をもとに書かれた小説の映画化だそうだが、映画で描かれている馬鹿騒ぎや、上官に対するいい加減な態度など、少々大げさに描いてあるような気がするが、実際はどうなのでしょうか(イラク人捕虜の虐待写真を見ると、何でもありなのかもしれませんが)。ただ程度の差こそあれ、階級の低い兵士のおつむの足りないような人たちがうまく描かれていたし、日々訓練ばかりというのもうなずける。やっぱり訓練の場面は面白いからね。
さて、最初の湾岸戦争の話なので、戦闘の場面がほとんど描かれていないが、その後のイラク占領で歩兵部隊が標的になった事をふまえると、少々作られる時期が遅い気がする。内容が内容だけに時期が難しかったのは分かりますが。
ジェイク・ギレンホールはまじめな役が多かったが、今回ははじけまくってます。
ジャケット 
05・米・103分
(監)ジョン・メイバリー、(出)エイドリアン・ブロディ、キーラ・ナイトレイ
湾岸戦争の時受けた傷が原因で精神不安定になった男が、精神病院に入院した。そこで受けた手荒な治療により、不思議なことが起こる。
サスペンスっぽい出だしなので、どういうオチなのか考えつつ見ていたが、だんだんサスペンスでないことが分かり始めて、だまされたというより、すっきりしない感じ。最近では「バタフライ・エフェクト」系なのだが、こちらは妙に暗いばっかりだし、内容も一言で言えばご都合主義っぽいし、出だしからのつながりに対する話の展開も途中で捨てられたという印象。
上海の伯爵夫人 
05・英・136分
(監)ジェームズ・アイヴォリー、(出)レイフ・ファインズ、ナターシャ・リチャードソン、真田広之
1936年上海、視力を失った元外交官と、貴族の出だが落ちぶれて上海にやってきたロシア人の女性が知り合いになった。さらに元外交官は上手い英語を話す日本人とも知り合いになり、理想の酒場について話し合った。そんななか日本軍が上海に進軍するとの噂が流れ始める。
ジェームズ・アイボリー監督ということで期待したかったところだが、予告の時点で少々期待はずれになりそうな予感がしつつ見てみる。
で、やっぱり期待はずれで、どの人の話も中途半端というか、どこで盛り上げようとか、焦点をどこにもっていくかとかいうことが見えてこない。
内容も、延々と酒場の話ばかりが多いし、伯爵夫人の苦労話は面白くないし同情するところもあまりないし、真田広之がもっと悪役みたいな感じで活躍するのかと思いきや、飲み屋に顔出すだけだし。つくりも当時の上海という雰囲気はほとんどなく、綺麗すぎで現実味もほとんど感じなかった。といっても、悪いわけではないが。甘く見て星二つです、やっぱり舞台がでかすぎて手に負えないと言った内容でした。
十三の桐 
06・中国・100分
(監)ルー・ユエ
あんまりよくない高校に通う少女は、ちょっと悪い感じの同級生が好きだった。そこに太って押しの強い転校生がやって来て、可愛い彼女に猛烈にアタックし始めるのであった。
不良の高校生を描いていて、なんだか一昔前の日本の高校生みたい。中国の映画でこんな話は珍いし、普段の高校生活を描いている部分などはとても良いのだが、何で見た目の悪い太った男にしたのかいまひとつ分かりづらいし(タイプの違う、普通に恋に落ちてもいい悪ぶった男でも良かったような)、最終的なオチの部分で学校生活と何の関係もない終わり方というのはどうにも理解しづらかったし、ナイフについてもとってつけたような印象でした。
また、画面が傾いていたけど、あんまり効果をあげてないような。
シリアナ 
05・米・128分
(監)スティーブン・ギャガン監督、(出)ジョージ・クルーニー、マット・デイモン
中東の専門家のCIA職員、石油ビジネスのコンサルティング会社社員、大手石油会社の顧問弁護士、中東に出稼ぎ来ている労働者を軸に、石油に関わる人たちの姿を描く。
わかりにくいと聞いていたが、実際わかりにくい。最後それなりに分かるが、?の残るところもあった。まあジョージ・クルーニーの役は、彼自身なにが周りで起きているのかよく分からない役ではあるが。
で、内容については少々物足りない。特に国王の長男に関する部分は作り話っぽく、現実を映そうという意図とはかけ離れた感じがしたし、陰謀とかいっても上層部の意向だけなので、ハラハラするわけでもなかった。
ちなみに「トラッフィック」のスタッフが集結したそうで、「トラッフィック」っぽいです。
白バラの祈り ゾフィー・ショル、最後の日々 
05・独・121分
(監)マルク・ローテムント、(出)ユリア・イェンチ、アレクサンダー・ヘルト、ファビアン・ヒンリヒス
反ヒトラー運動をもり立てようと、大学内でビラをまいた兄と妹が捕まって反逆罪に問われ、処刑された実話の映画化。
派手なところはないし、話の筋もわかっているのだが、それでも実話をもとにしているだけあってしっかりとした内容。メッセージである言論の自由への信念が、宗教の信念と結びついて描かれているのも、日本では結びつきにくい事だけに、重みがあった。
また、主役のお姉ちゃんの心情の移り変わりや動揺の様子が素直に描かれていたのは良かったし、育った家庭などの情報もきちんと伝え、分かりやすくしているもの好感が持てる。同様のことが取り調べ官にもいえ、当時多数だったヒトラー支持の人を集約しつつも、個人の人物像がきちんと描かれていた。
私は見ながら、自分ならどんな駄々をこねるのか、悪態をつくのかふと想像してました。それにしても最後処刑の方法は意外だった。
親密すぎるうちあけ話 
04・仏・104分
(監)パトリス・ルコント、(出)サンドリーヌ・ボネール、ファブリス・ルキーニ
ひとりの女性が精神科医のところにやって来て、彼女の悩みを話し始めた。しかし彼女はちょっとした勘違いをしており、悩みを打ち明けられた男は、戸惑うのであった。
勘違いから男女が惹かれ合うという話なのだが、あんまり盛り上がらない。話の流れにメリハリがないというか、何かが起こるという感じが全然なく、お互い控えめに好意を持っているという程度の話なので、私には少々刺激が無さ過ぎでした。
主演のサンドリーヌ・ボネール、タバコを吸わないのかもしれないが、もうちと吸っているようにして欲しいね。
スーパーマン リターンズ 
06・米・156分
(監)ブライアン・シンガー監督、(出)ブランドン・ラウス
スーパーマンが戻ってきて、また活躍し始めた。そんな時宇宙からの鉱物を使って巨大な力を手に入れようとするものが現れる。
危ない場面にスーパーマンがやって来て助けてくれるという、お決まりの場面の連続。それに文句を言っちゃあおしまいよ、ってなものかもしれないが、ここまでまともにこられると、面白くない。ついつい反発心が出てしまう。敵との対決もお粗末だし。もう少し目新しい部分を入れることが出来なかったのかな。空飛んで力技だけってのも今時どうなんでしょう。
ちなみにこれが初スーパーマンで、昔の話も見ておかないとだめらしい。他の人の評価はいいので、この星はあてにしない方がいいでしょう。なんか私スーパーマンを見ていると、公務員や警察官のつまらなさを重ねて、ちょっとは変なことをやってみろと、ついつい反発心が出てしまうのです。
スキージャンプ・ペア 〜Road to TORINO 2006〜
06・82分
(監)小林正樹、(出)谷原章介、アントニオ猪木
二人ひと組となってスキージャンプをする、スキージャンプ・ペアの誕生と、トリノオリンピックに正式種目として採用されるようになるまで、そして本大会の様子を描く。
ドキュメンタリータッチのお馬鹿映画で、ギャグマンガの世界。ギャグマンガでは滑ってしまいそうな部分も、いかにもまじめな話の展開が大きなギャップを生んで、面白くできている。特に実際の人々の応援を入れるところなんて、ほとんど反則技だよなあ。よくもまあこんな変な映画が出来ました、感心。
ただCGアニメの実写版とはいえ、CGの部分と普通のドラマの部分とのちぐはぐな印象はやはりぬぐえなかった。
好きだ、 
05・104分
(監・脚)石川寛、(出)宮崎あおい、西島秀俊、永作博美、瑛太、小山田サユリ
好きな人を交通事故でなくした姉を気づかう妹と、ギターを始めた男は高校の同級生。妹は姉がギターを聞いて少しでも元気になってくれればいいと思うのだった。
雰囲気重視の作品で、美しい映像というか風景が織り交ぜられているのはいいとしても、会話の内容が地味だし、登場人物も内向的で、見ていて少々手持ちぶさた。はっきりと自分の気持ちを表現できないというだけの恋愛ものでは、やっぱり物足りなく感じた。
途中ギターを弾いていたのは木村大?名前が出てなかったから違うのかな。
スタンドアップ 
05・米・124分
(監)ニキ・カーロ、(出)シャーリーズ・セロン
2児の母だがまだまだ男の目を惹く女性が、鉄鉱石採掘場で働き始めた。しかし会社と多くの男性従業員は女性の必要性を認めておらず、ひどい待遇を受けるのであった。
(「スウィート・ヒアアフター」+「エリン・ブロコビッチ」)÷2といった感じの映画。明るい話ではないが、苦しいときの家族や友人の絆がうまく描かれている点は良かった。
一方裁判の方は、いかにもアメリカ裁判映画っぽい描かれ方で、気に入らない点があったものの、裁判のやりとり自体に焦点を当てているわけではないので、適度な描かれ方でいいのでしょう。
それにしても、ここまであからさまな嫌がらせをするというのは、どういう気質なのだろう。日本人は陰険というか無視するのが普通で、行動に移して嫌がらせをする人はそんなにいないと思えるので、お国による違いなんでしょうか。
監督は女性で、前作「クジラの島の少女」といい今作といい、女性の視点に立ってしっかりと心情を描くのがうまいねぇ。
スピリット 
06・香港・103分
(監)ロニー・ユー、(出)ジェット・リー、中村獅童、
天津一の武道家になるため次々現れる挑戦者を倒していた男は、次第に自分の力に過信を抱くようになる。
わりとシリアスというか重めの内容で、ジェット・リーのアクションをみてすっきりするという感じではない。もちろん、格闘シーンは妙な動きがあるにせよ迫力があるし、話の内容もまとまっていて悪くはないが、少々堅苦くてまじめすぎ、且つ狙いすぎな感じがした。
中村獅童が対戦相手として出ていて、なかなかよかったが、彼に重きを置いているのも、「姿三四郎」の影響からだろう。
戦場のアリア
05・117分
(監)クリスチャン・カリオン、(出)ダイアン・クルーガー
第一次大戦で塹壕を掘りあって対峙していたフランス、スコットランド軍と、ドイツ軍が、クリスマスに休戦し、一時的に仲良くなった。しかし当然その休戦も長く続くはずがなかった。
実話をもとにした話。そのためか、盛り上がるところが最後でなく中盤にあり、終盤は戦争のむなしさだけが出てしまった感じ。その意図は分かるが、誰かに焦点を当ててラストを迎えても良かったような。
つくりはしっかりしていて、歌を歌う場面なんかはピンと張りつめた雰囲気が良かった。
送還日記 
03・韓国・148分
(監・脚)キム・ドンウォン
北朝鮮のスパイとして韓国で捕まり、30年の長きにわたり刑務所に収監されていた人たちが釈放され、韓国の人たちと生活することになった。そんな人たちを12年追い続け、北朝鮮に送還されるまでの姿を描いたドキュメンタリー。
これぞドキュメンタリーという一本で、よくぞ作ってくれましたと頭の下がる思いがする。
さて、この映画を見て一番伝わってくるのは祖国統一(どのような形が良いのかは人それぞれだが)への想いと、朝鮮戦争から引きずっている人々の感情で、感想を書こうにも私のような日本人が口を挟む余地がないほど。だから第三者の見方しかできないが、まずこのような歴史が韓国にあるという事実を知ることが出来て良かった。
一方、北朝鮮に栄光あれという人たちの話なので、あの社会をいまだに信じているというのは、どういうものなのか、長らく収監されて現実を見ていないのか、彼らが北朝鮮社会を引っ張っていく人たちと自負しているからそうなるのか知らないが、ついて行けない部分もあった。ただ迷惑を被った人やメディアの反応、反北朝鮮の立場をとる人たちや政府の反応など、一方的な見方では決してない。
またこの祖国分裂という状態の原因の一端が日本の占領にあるということで、日本に対する感情もそう簡単に片づけられないと云うことも理解できた。
年配の方が多数見に来ていて、ずっとぐすぐす涙を流している方が多かった。冷静に見るなんて出来ないだろうな。
ダイヤモンド・イン・パラダイス
(監)ブレット・ラトナー、(出)ピアース・ブロスナン、サルマ・ハエック
腕のいい泥棒のカップルが、もう足を洗って悠々自適の生活をしようとしていたところに、大きなダイヤが展示されるとの話が舞い込んだ。
盛り上がらない娯楽映画で、大した内容もないしアクションもなし。サルマ・ハエックは少々顔がきつくて、こういう娯楽映画向きではないような。
太陽 
05・露(日本語)・115分
(監)アレクサンドル・ソクーロフ監督、(出)イッセー尾形、佐野四郎
昭和天皇の終戦前後の姿を描く。
日本ではなかなか天皇を中心にして直接描くことはできないが、ロシアの監督が昭和天皇を描くというのもちょっとびっくりです。まずその勇気は評価したい。
内容は終戦前後の天皇の姿を描いているのだが、当時の出来事を細かく描くというより、天皇の生活と気質を描こうという点に主眼が置かれている。だから終戦を決めた御前会議や玉音放送の録音など、肝心なところは描かれておらず、いきなり終戦になってアメリカ軍がやってくるなど、変な所がいろいろあり、文句を言えばきりがないが、そこまで欲張ったらいけないか。
また、私の持っている昭和天皇像は、特徴のある口調と挨拶される場面くらいだが、そのイメージに近い形で描かれていると思うし、それを演じたイッセー尾形にも違和感がなかった。
ちなみにほとんど日本語、一部英語です。
太陽に恋して
00・ドイツ・100分
(監・脚)ファティン・アキン、(出)モーリッツ・ブライブトロイ、クリスティアーネ・パウル、マフメット・クルトゥルス
地味な男を好きになった女の子が、ちょっとした恋のいたずらをした。ところが男の方は全然関係ない子のことが好きになり、その子を追ってイスタンブールに向かうことに。
「愛より強く」があれほど面白かったから、こっちの方も見逃してはならぬと、見てきた。
やっぱり勢いがあり面白い。こちらはラブコメ・ロードムービーとでも言いましょうか、「愛より強く」のように現実的なドラマというより、ある程度エンターテイメント色がある。偶然以上のタイミングのよさや、派手な展開ありなので、まじめな評論家なんかは賞をあげづらいのかもしれないが、話の展開は素晴らしいし、ラブコメでここまでのものを作るのはなかなか出来ないことです。
まあ、男の方があんなに魅力的な子を置いて、地味な子を追いかけたり、それでもエロエロお姉さんがやっぱりいいのかとか、カーチェイスのところなんかはやりすぎに感じましたが。
主演の男、モーリッツ・ブライブトロイはどこかで見たなと思っていたら、「エス」に出ていた。確かに出てましたね。主演のお姉ちゃんもどこかで見た気がするけど、調べてものってないな。気のせいだったのか。
魂萌え! 
06・125分
(監・脚)阪本順治、(原作)桐野夏生、(出)風吹ジュン、三田佳子、寺尾聰
家庭の主婦として夫の定年までを支え、その後も普通の夫婦と思って生活していた主婦だったが、夫の突然の死で夫が他に女を作っていた事実を知る。
すっきりする感じのドラマかと思いきや、どろどろくどくどした場面が多い。それがあんまり興味の沸かない60近いおばさんの事だから、何でカプセルホテルに行く?と思い始めた30分過ぎ頃からほとんど戦意喪失状態。映像面でも良いところなく、とても手持ちぶさただし、あんまり実感の伝わってくる話ではないように思えたが、映画祭の星取表では、5点満点中、4、4、4、5、4、4、3だって。左二人が男。ただし新聞マスコミ関係者6人で、3点つけたのが外人さん。
単騎、千里を走る。 
05・日中・108分
(監)チャン・イーモウ、降旗康男、(出)高倉健、寺島しのぶ
長らく疎遠であった息子が重病に陥った。父は息子の願いである、「単騎千里を走る」という京劇を録画するため、単身中国に渡るのであった。
チャン・イーモウ監督が高倉健さんのファンだそうで、高倉健さんの定番っぽい話を、中国を舞台に展開し、しっかりとした人情物語にしている。
言わば映画を通した日中友好を描いていて、中国人に対してあまり好ましくない印象を持っている私なんかは少々反省。これだけ良い映画をつくり、日本映画が忘れたものを描いている最近の中国映画には点が甘いのであった。
旗の後ろってのがニクイです。ちょっとウルウル。
チェンジ・オブ・アドレス 
06・仏・86分
(監・脚・出)エマニュエル・ムレ
眉毛のつながったちょっと見たところパッとせず、気の弱い男が、ルームシェアで女の子と一緒に暮らし始めた。そんなとき彼の家庭教師の仕事が見つかり、可愛い生徒に恋をしてしまうのであった。
恋の四角五角関係を描いていて、困ったり失望したり時にうまくいったりを繰り返す。中心の男が気が弱いということもあって、ウッディ・アレンのコメディ+エリック・ロメールの恋愛ものといった印象。
会話はウディ・アレンほど楽しい感じではないが、場面場面の切り替えなどでおかしいところが多いし、テンポの良い展開で面白かったです。
さて毎度おなじみ質問タイム。
最初に監督兼主演から、どんな感想を持ったか聞きたいという一言があったので、早速挙手、日本人でこのような内容の映画を作ろうとすると、少々私たちの実生活と離れているので厳しいのかもしれないが、私たちの持つフランス人のサッパリした恋のイメージと合っていて、面白かったですという感想と、どんな監督の影響を受けたかという質問をしました。
答えは、真っ先にウディ・アレンが出てきたので、やっぱりな〜ってな感じ。お決まりの質問程度になってしまったが、本当は映画の主人公はちょっとダサくて気の弱い男だから眉がつながっているのかとおもってましたが、今実際監督さんを見ると、眉毛がつながっているのは、何ででしょう、ってな質問をしたかった。
でこのあと実際の監督さんの生活がどのくらい入っているのか、とか、女優さんはどのように選ばれたのか、という質問があって、そんなに実生活の場面は多くないということ、女優さんはテレビのコメディ番組の仕事をしていて、これが映画初進出ということで、オーディションで受かったそうな。
父親たちの星条旗 
06・米・132分
(監)クリント・イーストウッド、(出)ライアン・フィリップ
硫黄島に立て籠もる日本軍を掃討するため海兵隊が上陸した。戦力は圧倒的にアメリカ軍が有利で、早々に島を占拠できるものと思っていたが、予想外の強い抵抗に遭い死者が続出してしまう。そんななかで、すり鉢山に星条旗を掲げた兵士の写真が評判になり、それに写った兵士は英雄として様々な催し物にかりだされることに。
先日硫黄島に立て籠もっていた日本兵のドキュメンタリー番組を放送していて、その壮絶さに大きなショックを受け、この映画を見つつもどうしてもあのおじいちゃん達の姿が思い出されてしまい、少々冷静さを失うようなところもあったほど、この映画も真摯な姿勢で作られている。
今回はアメリカ軍からの視点と言うことで、英雄として祭り上げられた男達の話に焦点を当てている。ただ単に勝った側の戦争話にしたら、それこそ見られたものではなかったと思えるが、全く別の視点から戦争を描いている点は良いし、実際の戦争に参加した人の話、父の話とドキュメンタリー、セミドキュメンタリーとして描かれているのも、私の好みでとても良かったです。
ちなみに最後アメリカ軍は日本兵が立て籠もる穴に油をまいて、火を放って皆殺しをはかったそうな。さすがにそれは描かれないだろう。
Dear Pyongyang ディア・ピョンヤン 
05・107分
(監)ヤン・ヨンヒ
朝鮮総連の大阪代表として長きにわたり活動し、息子3人を朝鮮に移住させ、今なお北朝鮮に忠誠を誓う父の姿を、大阪で生まれ育った娘が描いたドキュメンタリー。
「送還日記」ではどちらかというと堅苦しい感じの北朝鮮に忠誠を描く人々の姿が描かれていたが、この親は愛嬌があるし、大阪くらしということで、お笑いというか明るい気質もあって親しみやすい。
内容は朝鮮総連の幹部だった父と家族の話で、現在の生活から、家族の歴史、北朝鮮へ兄3人に会いに行く場面と、朝鮮系の在日の人々の姿を身近に感じられるように描かれていて、興味深いし、北朝鮮の映像もそれだけで貴重な感じがする。そして何より家族の絆の強さに心うたれました。
デイジー 
06・韓国・125分
(監)アンドリュー・ラウ、(出)チョン・ジヒョン、チョン・ウソン、イ・ソンジェ
オランダで絵描きをしている女の子が一人の男を好きになった。その男はインターポールに勤めていて、麻薬組織の調査をしていた。
最初からベタベタな話と分かっているから、少々ゆっくりした話の展開や、お決まりの話の流れ、つっこみたいと思えるところに対しても、そんなに文句を言いたいと思うほどではなかった。ただ面白かったかときかれれば、悪くはないけど、という程度。
終盤インターポールの暴走やマフィアの行動など、強引に話を持って行っていて、なんでそうなるのか分からない点もあるのだが、お決まりの話にもっていくその手腕の方がまさっていた。
ただ、人を殺しておいて、女の子に声をかける勇気がない、というのはそんなアホなと思って見てましたが
ディバージェンス 運命の交差点 
(監)ベニー・チャン、(出)アーロン・クォック、イーキン・チェン、ダニエル・ウー
恋人が突然失踪し彼女の思いを断ち切れない刑事が、猟奇殺人事件を担当することに。
いかにも香港映画って感じで、車が多数大破したり人が殺されたりはするのだが、肝心のストーリはお粗末で、何でもアリだし、たいして盛り上がる場面もない。また探偵だか殺し屋だかの男の役割はよく分からなかった。
DEATH NOTE デスノート 前編 
06・126分
(監)金子修介、(出)藤原竜也、松山ケンイチ、細川茂樹、香椎由宇、鹿賀丈史
名前を書いたら死んでしまうという、悪魔の落としたノートを手に入れた男が、凶悪犯人などを次々と抹殺しはじめた。それを警察と謎の男が追う。
人気漫画の映画化だそうで。漫画は読んでませんが、読んでみたいと思う内容で、ホラーにそろそろ食傷気味の観客にとって、新手のサスペンスホラーっぽいところがよろしいんではないでしょうか。
ただこれだけ評判の映画の割につくりはしょぼく、最初悪魔が出てきたときはがっかりした(あとになると慣れましたが、慣れって怖い)。また、内容自体も殺していくという緊張感と警察とのやりとりは結構だが、何でそんなことをし続ける必要があるのかとか、一般人もあっさり殺したり、人を殺した罪悪感という大もとに関する疑問を無視して面白さを追っているので、やっぱり人気漫画っぽいという気もする。
ポテトチップのメーカーの名前で吹き出してしまった私、変な客だと思われたろう。
後日漫画を読んだが、面白くなかった。映画は頑張っていたんじゃないでしょうか。
DEATH NOTE デス・ノート the Last Name 
06・140分
(監)金子修介、(出)藤原竜也、松山ケンイチ、片瀬那奈、上原さくら
Lからキラではないかと疑われているライトの前に、第二のデスノートをもった女が現れた。彼女はキラに対して絶対的な信頼と恋心を抱いているのであった。そしてライトはその女を利用しつつ、自分の疑いを晴らすと同時に、Lを抹殺しようと企てるのであった。
後編ということで、藤原君演じるライトの謀略も複雑化、手が込んでます。といっても第二の死神とデス・ノートを使ったりして、小手先だけって感じもなきにしもあらずだし、馬鹿っぽいアイドルってのもどうなんだろうと思ったりもするが、ライトのすべて計算ずくさ、ふっふっふってなところがすべてをカバーして、まずまず楽しめました。
それにしても、一番大事なLを倒すところがどうも分かりづらく、どうやって倒したのか、私は分からなかった。
テレビ番組の後ろのセット、花に目が書いてあったが、はなまるを意識してやってたら文句がきそう。
ディセント 
05・英・99分
(監)ニール・マーシャル、(出)シャウナ・マクドナルド、ナタリー・メンドーサ、ノラ=ジェーン・ヌーン
仲の良い女性グループが、洞窟探検に出かけた。初心者でも探索出来る洞窟のはずが、実際は難コースで、さらに途中落盤が起こり、入り口までの道を絶たれてしまう。意を決して奥に向かったものの、そこには謎の人影が・・・
出だしの場面で車から飛んできたのは何なのか、よく分からないうちに話は展開。その後の導入部分でもう少し登場人物の特徴を描いて欲しかったような。冒険のプロの女性以外、皆似たり寄ったり。
地下に降りてからは、ライト、火、照明灯、発光棒など色調の違った照明器具で周りを照らしつつ、暗闇の閉塞感をうまく表現していて結構怖いです。私は時々こういう暗くて狭いところを何とか抜けようとする夢をみるので、夢に出そう。みたあと疲れるので、みたくないのだが。
しかしながら、良かったのは降りてしばらくの間だけで、最初のけが人の行動は?マークだし、地底人が出てきた時点で相当がっかり。さらに暗いので誰が死んだのかとかよく分からない状態に。まあ誰でもいいのかもしれませんが。それに残虐なシーンばかり凝っているという感じなので、私の好みではなかったです。ラストも少々不親切な気がしました。
全体的なつくりは悪くないので、怖いモノ好きな人向けなのかな。
鉄コン筋クリート 
06・111分
(監)マイケル・アリアス、(声)二宮和也、蒼井優
中州のようになっている宝町は周囲の開発に取り残された形で、昔ながらの町並みが残っていた。そこには町を仕切る幼い兄弟がおり、驚異的な俊敏さで動き回っていた。そんな町にも開発業者が入り込み、大きなプロジェクトを始動させようとしていた。
観るまでは全く話の内容の見当がつかず、オトボケ気味の絵とタイトルで、コメディタッチの映画かと思ったが、結構暴力シーンが多く、大人向き。で、とにかくすごい絵。一体どこがモデル地区なのかしらないが、よくもまあこんなレトロな町並みを描きました。
内容に関しては、町を仕切る幼い兄弟が開発業者らが送り込んでくるものどもと戦い、町を守るというかっ飛んだ話だが、兄弟二人の悲しい内面や、ヤクザやら刑事の人間味のある描かれ方がとてもいい。反面組織のボスは少々面白味がなかった気もしますが、人情を排したからああなったのだろう。
戦いの場面などで少々バランスが良くないと感じたところがあるほかは、とにかくこの映画の世界観にどっぷりハマって楽しむことが出来ました。ラストは好き嫌いあるかな?
幼い方は蒼井優ちゃんが声優をしているのだが、言わなきゃ分からないくらいの声で、見事に声優をしている。
デュエリスト
05・韓国・101分
(監)イ・ミョンセ監督、(出)ハ・ジウォン、カン・ドンウォン
偽の通貨が大量に流通、それを調べ始めた役人が、なぞの剣術師と遭遇する。
CGよりもセットでみせます、ってな感じのつくりだが、小ぎれいすぎてモロセットですという印象を受ける。また内容がないに等しく、延々チャンバラを繰り返すだけで話が進むし、余計としか言いようのない恋物語が入ったり、スローを多用しているのも興ざめ。
時をかける少女
(監)細田守、(原作)筒井康隆
格好いい男友達二人とキャッチボールをするのが好きな女子高生が、時間を元に戻せる、タイムリープの力を偶然手に入れた。彼女はそれを利用して、二人の男友達が好きな女の子のため恋の手助けを始めるのであった。
私は小説も映画も見たことがないので、これが初めて。
出だしの、のんきな女子高生の日常生活から、突然夢のような出来事が起こり、タイムリープという話になる。そのタイムリープに関しては、やっぱりいろいろ質問したくなるような部分が残る。大まかに捉えれば問題ないのだが、そこから少女の恋の手助けみたいな話になっていくので、少々対象年齢が低めの話かななんて思ったが、ゴロゴロ転がってタイムリープを繰り返していくうち、この映画の世界にも慣れていった。そして中盤の少女の戸惑いとラストにもっていく意外な展開はとても良かったです。こんな私でも若かりし頃の純情な気持ちを思い出しましたよ。
トム・ヤム・クン! 
05・タイ・110分
(監)プラッチャヤー・ピンゲーオ、(出)トニー・ジャー
育てていた象の親子が何者かによって盗まれた。国王の象を守る戦士の子孫である男が、盗まれた象を探してオーストラリアに向かう。
「マッハ!」の監督と主演のお兄ちゃんが組んだ第2弾目作品。
出だしから1時間、象が盗まれオーストラリアでの話が導入される部分までは、リュック・ベッソンのTaxi系ダメ映画に近く、2作目ずっこけパターンになってしまったかと思ったが、後半はこれでもかというアクションの連続で、見ていてアドレナリンが出るくらいに迫力があった。特に階段のシーンは圧巻。内容自体はお決まりパターンなのだが、「マッハ!」に比べると大がかりになった分、お粗末というかモタモタする部分が目につくし、悪人の描かれ方に何の良い点もなかった。
星は前半ダメだが、後半のアクションの良さを買って星三つ。前半にあと一回アクションがほしかったし、主役のお兄ちゃんがずっと服着たままというのは、もったいない気がした。
トラウマ 
04・米・93分
(監)マーク・エヴァンス、(出)コリン・ファース
有名歌手が殺された。そのニュースをじっと見つめる男も最近愛する人を失っていた。
何のことかよく分からない内容。現実と妄想を織り交ぜつつ、何がホントか、みたいな話だが、主役の男とそのほかの人のつながりが、いつまでたってもすっきりしないまま最後まで行ってしまった。映像も面白味がなくグロテスクな所を強調しているばかりだし。
トランスアメリカ 
(監)ダンカン・タッカー監督、(出)フェリシティ・ハフマン、ケヴィン・ゼガーズ
現在は女の身なりで生活し、たまたまをとる手術を控えた性同一性障害の男性のもとに、昔男だったころに出来た息子から電話がかかってきた。自分の正体を明かすことなく息子に会いに行くが・・・
話の展開がさっさとしてよどみないし、会話やおかまネタの部分の出来も良い。また、おかま映画によくある嫌悪感もなかった。調べて知ったが、演じているのは女優さんで、そのためだろう。まあ、息子が男娼である点はうまく働いていたかどうか、盛り上げるためにしてはきついような印象があった。星三つ半
ちなみに、おかまが旅する映画としては、「プリシラ」もお薦めです。
トランスポーター2 
05・米・88分
(監)ルイ・レテリエ、(出)ジェイソン・ステイサム
裏の仕事でなく、普通に子供の送り迎えをしていた運び屋の男が、その子供と父を巡るトラブルに巻き込まれてしまう。
第2弾はアクションとアクションシーンのアイデアがパワーアップ、しかし内容はいまひとつだし、モロパクリ。それに主人公がスーパーマンみたくなってるし、どのくらいアウディからお金をもらっているのか知らないが、車に傷ひとつ付かないという、エンターテイメント一直線の出来。その割に最後の飛行機はお粗末でした。
誤解を与える剣道の描かれ方だが、ああいう馬鹿らしさは好き。
ナイロビの蜂 
05・米・128分
(監)フェルナンド・メイレレス、(出)レイフ・ファインズ、レイチャル・ワイズ
園芸が趣味で地味な外交官の男が、一人の行動的な女性と出会い、恋いに落ちた。そして二人はアフリカで暮らしはじめるが、女の方が夫に隠れて不穏な行動をとるように。
なんだかピンとこない。男の方は地味でつまらないといういう設定だが(私、園芸が好きです)、必ずしもそうは見えないし、妻の方は夫に隠れて探偵みたいなことをやって、陰謀に巻き込まれるという、少々突拍子もない話という印象。つまり全体的に作り話っぽい。まあ、もともと、困窮して生きるのにも大変な人たちを扱った映画自体が好きではないのもある(ドキュメンタリーはいいのだが)。偽善っぽくて。まあ、知らぬ顔しているお前はもっとひどいと言われればそれまでだが。
つくりに関しても、都合良く襲われたり、ラストに関してもちょっと無理があるなど、この手の映画にしたら気になるところが多かった。
評判は悪くなさそうなので、他の人の感想も参考にして下され。
長い散歩 
06・136分
(監)奥田瑛二、(出)緒方拳、高岡早紀、杉浦花菜、松田翔太
学校の校長を定年退職し、一人暮らしを始めた男が住み始めたアパートの隣には、水商売をしている女が住んでいた。彼女には幼い娘がいたが、虐待をしていた。
話の内容自体は大人が子供を連れて歩くという、割とありがちな話だが、主人公の男と少女の二人が救いを求めて旅するという基本がしっかりしているし、生活感あふれるつくりも良かった。泣けるってほどでもなかったが。
松田翔太君の役についてはちょっと唐突だったり、後半男が追いかけられる部分についてもツッコミどころがあるが、そんなに気になりませんでした。点に関しては、私は「菊次郎の夏」の方が好きってのもあるし、話に引き込まれるってほどでもなかったので、星三つ。
ナチョ・リブレ 覆面の神様 
06・米・92分
(監)ジャレッド・ヘス、(出)ジャック・ブラック
孤児が暮らす教会で手伝いをしている太った男が、レスラーになって一発当てようと覆面をかぶって大会に参加した。そして参加費で子供達においしいものを食べさせ始めるが、レスリングは教会では野蛮な競技として禁止されていた。
話の内容やつくりはいまひとつなのだが、ジャック・ブラックのおかしさは満載で、妙な歌を歌ったり、ちょっとしたギャグなんかもクスッとするものがあったので、B級気味のコメディとしてみればまずまずの出来。それにしてもジャック・ブラック以外の役者だと、とんでもなくつまらないものになっていたように思えるから、彼はすごいんだね。
NANA2 
06・130分
(監)大谷健太郎、(出)中島美嘉、市川由衣、玉山鉄二
ハチこと奈々ちゃんは、人気バンドのトラレスのひとりと偶然出会い、恋いに落ちてしまう。しかし彼は浮気性だし仕事は忙しいしで、かまってくれない。バンドのナナの方もトラレスのメンバーと付き合ってはいたが、割り切っており、奈々の方が気になるのであった。
宮崎あおい、松田龍平、松山ケンイチと前作の主要役者が交代し、これがラストのNANA2。宮崎あおいちゃんの断固とした出演拒否はいろいろ理由が取りざたされているが、観る方にとっては出たっていいのにと不満が残るところだ。とにかく観てみよう。
とても地味な出だし。そもそも玉山君演じる男が誰かよく分からないし・・・。トラレスのメンバーなのね、すっかり忘れてる。その二人の出会いが唐突なのに、その後の展開はモタモタして全然盛り上がらない。この調子じゃあ長くなるのも分かる。
私は漫画を読んだことがないのだが、、NANAって歌を歌っているナナの方がどちらかというと主体で、バンドの話が中心だと思っていた。前作はそうだったと思う。しかし今回は奈々の方の話ばっかりで、それもガキの恋みたいな話が延々続く。歌はどうした?
中盤ようやくバンドの活動が出てくるが、あまりに順調すぎて何の面白味もない。バンドが売れるか売れないか必死になって頑張るも、山あり谷あり、バンド仲間との亀裂とかがありつつ、何とかまとまって成功を手に入れるという基本のストーリーが、やはり映画では必要不可欠だったと思う。それに絡めて奈々ちゃんのゴタゴタを描くならまだ納得がいったろう。
さて今回ゴタゴタの中心になった、奈々と玉山君が演じたタクミの話だが、どちらも観客の共感を得られない描かれ方で、特にタクミの方はこちらが戸惑うような言動の不一致がみられる。奈々の方は寂しさと自分の空虚な感覚を埋めるために行動を起こしているというのは分かるが、ほとんど自己憐憫に陥っていて、こちらがかまってやらなければならないという、ナナやバンドメンバーが思っていたことが、観ているこちらには全く伝わってこず、勝手にして下さいという風に見えたのも事実。市川さんも頑張っていたけど、どうしても気になってしまうというほどの魅力までは持ち合わせていなかった。宮崎あおいちゃんならどうだったかとも想像するが、この内容だとやっぱり面白くはならないだろう。脚本を見て出演拒否もうなずけます。
ラストの歌の場面なんかはやっぱり迫力があって、何でこんないい題材を台無しにしてしまったのだろうという気持ちは大きい。
これでラストだそうで、何とも中途半端な終わり方になってしまった。ラストなんだから、漫画から離れたストーリーを作っても良かったと思う。そうすればここまで基本線からズレることはなかったろうに。
涙そうそう 
06・118分
(監)土井裕泰、(出)妻夫木聡、長澤まさみ
沖縄本島でひとり暮らしをしている兄のところにかわいい妹がやって来て、一緒に生活し始めた。兄は自分の店を持つこと、妹を大学に進ませるという目標に向かって頑張って働いていた。
沖縄が舞台の映画は強しということを再認識させるような映画で、内容はメロドラマだが、つくりはしっかりしているし、最初から最後までバランス良く盛り上がるとこがあるし、話の展開も早めでいい。
また、兄の仕事で頑張る姿勢からくる生活感も好印象。割と幅広い層に受け入れられるタイプの映画に仕上がっていると思いました。
私は泣きませんでしたが、泣いている人がぼちぼちいました。
さて、今回初めて長澤まさみちゃんの作品を見たのであるが、思ってた以上に痩せててひょろながって感じ。演技の方は、やりやすいように自然体でやっていて、まずまずでした。あんまり高望みしても仕方ないしね。
ニュー・ワールド 
05・米・135分
(監)テレンス・マリック、(出)コリル・ファレン、クオリアンカ・キャルヒャー、クリスチャン・ベイル出演
イギリスから新天地を求めてアメリカに渡った一団が砦を築いた。そして原住民との交渉に出かけた男が捕らえられ、そこで美しい原住民の女性と出会う。
イギリスの冒険家ジョン・スミスと、ネイティブ・アメリカンのポカホンタスの実話をベースにした物語。映像面は詩的というかテレンス・マリック監督の手腕が十分発揮されている。ただ、内容は愛がどうのこうのという場面が多く、さらにそんなことを原住民の女が言うものだから、違和感があったし、中後半の話の流れもあまりスムーズでない印象を受けた。
また戦闘の場面で、敵味方が入り交じっての乱戦があったにもかかわらずみんな生きていたりと、ツッコミどころは多い。ま、「シン・レッド・ライン」のように日本兵を変に描くのよりは大目に見られたが。
紀子の食卓 
05・159分
(監)園子温、(出)吹石一恵、吹石一恵、つぐみ、吉高由里子、光石研、並木史朗、宮田早苗
田舎の女子高生が地方の生活に嫌気がさし、ネットで出会った女の子を頼って上京した。そして謎の出張サービスの仕事を始める。一方、娘が失踪した親は、何とか娘を連れ戻そうとする。
「自殺サークル」の関連作品ということだが、園子温監督の作品は初めてなので、見ていない。
で、とにかく無茶なことやり放題で、ツッコミどころ満載といえばそうなのだが、最終的に現実と虚構という枠を設けたことによって、んなアホなというツッコミを虚構の世界に持っていける。その点は上手いという事にしておこう。
また考えたことを台詞でいうという独り言のオンパレードも、豊かな表現によって小説の良い点を組み入れたようになっていて(ちょっとかぶっている部分もあったが)、登場人物の心情がうまく表されている。その説得力が無茶な展開を上回っていた。
ちなみに、監督のまとめ方とズレがあるが、娘が新興宗教に入って洗脳された親の気持ち、というものの大変さを感じた。特に妹の方は頭悪そうだけに親としても気が気じゃないだろう。
また、母の絵を描いているところなんか結構好きです。
みんなにお勧めできる映画ではないかもしれないが、「空中庭園」が好きな人なら、面白く見られるでしょう。